CGL125のキャブレターとドライブスプロケットを純正のものに戻したのは前の記事「いろいろノーマルに戻してみた」でお知らせした通りですが、その理由の一つとしてあげた点火系パーツの検証をしてきましたよ。
今回試してみるのは「ネタを仕入れた 2017春」の時に購入したCDIで、それぞれCG125で使える角形4ピン+3ピン接続のものとして販売されていたものです。
タオバオにはいろんな種類のCDIが出品されており、リミッターのないレーシングCDIやイモビライザー搭載の盗難防止システムCDIなどバリエーション豊かなラインナップになっています。
(「摩托车 点火器」などのキーワードで検索してみるといろいろ出てきます) そんな中から今回入手したのは一般用途向けのリプレース品で、うたい文句としては低温下での始動性向上、トルクアップ、燃費向上、安定した性能など実用領域での性能向上を目的とした商品のようです。
CG125数字进角点火器
まずはデジタル直流CDI ソケットを除くサイズは66mm x 39mm x 21mmで純正CDIとほぼ同じ。 このモデルはソケットが青色で電源用の赤いケーブルが本体から出ているのが特徴。 CDIの電源が直流外部電源になるため、ソケットの交流電源入力ピンがありません。
CG万能点火器
続いてアナログ直流CDI このCDIのみ他のものと本体の大きさが異なり、ソケットを除くサイズは75mm x 42mm x 24mmと一回り大きくなっています。 ソケットは純正と同じく白色ですが、電源用の赤いケーブルが本体から出ています。 CDIの電源が直流外部電源になるため、ソケットの交流電源入力ピンがありません。
CG交流点火器
最後はアナログ交流CDI 本体の大きさはデジタル直流のものと同サイズで、電源が交流のため純正CDIとの違いは刻印くらいです。
ちなみにCGL125純正CDIのサイズは66mm x 39mm x 22mmとなっていました。
さてCGL125のCDIは交流式で、ジェネレーターで発電された交流電源をCDIに内蔵された回路で整流するためバッテリーに依存しないで点火できます。
バッテリー上がりなどのトラブルがあってもとりあえずエンジンをかけることができるといったメリットもあるようです。 直流式のCDIは交流式と比較してより正確な点火時期制御ができたり、始動性の向上などのメリットがあるようですね。
交流式CDIのCGL125に今回購入した直流式のCDIを取り付けて動作させる方法ですが、CDI本体から出ている赤い電源線をDC12Vのラインに接続するだけ動作するようになっていました。 CDIに接続するハーネスからのソケットにはジェネレーターから来る交流電源のラインがありますが、CDIの交流電源入力のピンが取り付けられていないため、DC12V電源が用意できれば純正のCDIと取り替えるだけのほぼポン付けで交換することができます。
ちなみに今回CGL125で直流CDIを動作させるために使用するDC電源は「ナビ用USB電源とトップギアインジケーター配線の引き直し」の記事内でエアクリーナー付近に引き出しておいた「秘密の配線」なのですが、他の交流CDI搭載のバイクでもDC12VのACCラインなどから分岐させてやれば同様に直流CDIを搭載することは可能だと思います。
前置きはこれくらいにして、実際にこれらのCDIの動作確認を兼ねて純正CDIとの違いなどを確かめてみましょう。
まずは純正CDIの乗り味を頭に叩き込むため、宮ヶ瀬までの往路は純正の組み合わせで走ってみます。
約2年半ぶりの純正PD22キャブと15Tドライブスプロケットの組み合わせは、忙しないシフトアップとパワーバンド付近を維持しなければ流れに乗るのが困難に感じてしまい快適とは言えないものでした。
PZ27+16Tドライブスプロケットのトルクフルで楽チンなパワーを知らなければ、これはこれで「こんなものだろう」というところですが、そこはやはりPZ27の力強さとの違いを感じざるを得ませんでした。
写真は左から「デジタル直流CDI」「アナログ直流CDI」「アナログ交流CDI」「CGL125純正CDI」でアナログ直流CDIのみが一回り大きい本体サイズというのがわかりますね。
純正CDIの感覚をだいたいつかんだところで、購入した中華CDIを試してみることにします。
比較後の感想としては計測機器等を使用した数値の違いなどを示すことができないので、実際に搭載してそれぞれ同じルートを走ってみて、CGL125純正CDIとの違いの部分を書いてみたいと思います。
(あくまで私個人の感想です、同様な効果を保証するものではありません)
ちなみにCGL125のCDIは右サイドカバーのエアクリーナーボックス後ろ側にゴム製のホルダーを介して搭載されています。
CDIはこのゴムホルダーにがっちりはまっていて外すのが大変なので、外した後はシリコングリスを薄く塗っておくと次回からは比較的簡単に外せるようになります。
まずはデジタル直流CDI。
CDIのハーネスソケットを差し込み、外部供給のDC電源ラインを接続します。
セル一発でエンジン始動し、キャブレターのアイドルスクリューを調整しなくてもアイドリングは安定しています。
特徴としては
- 純正CDIに比べて振動がとても少ない
- 7,000rpmまでとてもスムーズに回転上昇・加速する
- 8,000rpm以上は頭打ちで回転が伸びない
- 純正CDIに比べて全体的にトルクが向上し登坂が楽になった
- 振動が少なくなったせいでスピード感を感じにくいが、メーターを確認するとそれなりの速度になっている
というところ。
スムーズかつ回転上昇が早いため加速は良いが、8,000rpm以降の頭打ちが残念なところです。
しかしその回転領域まで行くとそれなりの速度が出ているため、これ以上回ったら危険な速度域に突入してしまう感じがします。
ひとつ思ったのは17Tのドライブスプロケットと組み合わせたら、高回転まで回さなくてもトルクフルかつそれなりの速度で流れに乗った走りができそうかな?と感じました。
お次はアナログ直流CDI。
取り付けはデジタル直流CDIと同様。
セル一発で始動しますが、こちらのCDIはアイドリング回転数がメータ読みで300rpmほど上昇しました。
アイドリング回転数を1,400rpm程度に調整しなおして走行してみます。
- 8,000rpmまでスムーズに回転上昇・加速する
- 8,000rpm以降も伸びて、気をつけないと危険な速度域に突入してしまう
- 振動はデジタル直流より多めだが、純正CDIよりは少なくいい意味でシングルのドコドコ感を感じられる
- 全域でトルクの向上を感じ、パワフルなので頑張ってアクセルを開けなくてもそれなりに走る
- 純正CDIに比べて登坂が楽
- 減速後や中間加速時にシフトダウンしなくても加速する
- 感覚としてはスピード感があるが、実際の速度は直流デジタルの方が出ている
といった感じ。
全域でパワフルかつトルクフルなので、純正CDIに比べて乗りやすい感じでした。
振動の多さから来るスピード感のため、あまり頑張ってアクセルを開けようと思わないし、トルク向上から来る押し出しの良さで、まさに「万能点火器」の名がふさわしい感じですね。
PZ27と16Tスプロケットの組み合わせなら、長距離ツーリングでも疲労度が少ないだろうと思います。
最後はアナログ交流CDI。
これは交流電源式なので純正品との差し替えのみで取り付けできます。
アイドリングは純正CDI・デジタル直流CDIと同様の回転数でした。
特徴としては
- 8,000rpmまでスムーズに回転上昇・加速する
- 8,000rpm以降も伸びて、気をつけないと危険な速度域に突入してしまう
- 振動はデジタル直流CDIとアナログ直流CDIの中間くらいな感じ
- 全域でトルクの向上を感じ、パワフルなので頑張ってアクセルを開けなくてもそれなりに走る
- 純正CDIに比べて登坂が楽
- 減速後や中間加速時にシフトダウンしなくても加速する
- 感覚としてはスピード感があるが、実際の速度は直流デジタルの方が出ている
といったところで全体的にはアナログ直流CDIと似た感じでした。
三種類のリプレースCDIを試してみましたがそれぞれに特徴があり、今後どれを使うかは悩むところです。
デジタル直流は上記のように8,000rpm以降の頭打ちが気になるところですが、それでも遅いわけではないので歯数の多いドライブスプロケットとの組み合わせを試してみたいところです。
CDI用の外部直流電源を用意することができるならアナログ直流CDIがトータルではマッチしそうですが、ポン付けで済ませたいならアナログ交流CDIでも十分CDI交換の効果を実感できると思います。
純正のCDIは7,000rpm付近で回転の谷間というか引っかかりを感じますが、今回購入したCDIは3種とも谷間を感じずスムーズに回転上昇するし全体的にトルクアップを感じました。
あと純正CDIに比べて一段高いギアを使用しても平地はもちろん登坂でもストレスが少なく全体的に楽に走れるといったメリットも感じました。
ひとつだけ心配な点というと、それは品質面というか耐久性の部分でしょう。
最近の中国製品は以前に比べて品質向上したとは思いますが、まだまだ不良品の発生する割合は少なくないと思いますので購入時には同じものを複数個注文するなどの対策が必要かもしれません。
一番高いものでも10元程度と非常に安価ではありますが純正CDIとの差は明確に感じられるし、値段が安いので複数個購入してもあまり懐が痛むこともないでしょう。
というわけで中華CDIの検証は概ね終わりましたが、ついでにこちらのアイテムも試してみます。
LOWEN製三極スパークプラグ D8TC
CGL125に標準搭載されているスパークプラグはDR8ES-Lですが、販売ページの互換情報の記載にCG125があったため試しに購入してみました。
黄色の碍子に金色のボディー、金色のパッケージが高級感満載で期待せずにはいられませんが、その効果はいかがなものでしょうか。
(多極プラグについての詳細はNGKのサイトを参照→「多極プラグとは?」)
中華CDIの検証後、CDIを純正に戻しプラグをDR8ES-Lから三極プラグのD8TCに付け替えて帰路につきます。
セル一発で始動、アイドリングは安定していますが、純正CDI+NGK DR8ES-Lの組み合わせより振動が少なくマイルドな吹け上がりになりました。
走り始めてみると先ほどまで装着していた中華CDIを付けているかのような、トルクフルでパワフルな走りに変わってしまいました。
走ってみても全域で振動が減少しトルクが向上。
中華CDIほどのパワーアップ感はありませんが、PD22+純正CDI+DR8ES-Lの組み合わせからは明確な変化を感じられました。
中華CDI三種類でも大きな変化を感じたのに、ついでで試した三極プラグでここまで変化するとはビックリです!
ただやはり品質面や耐久性での心配があり定期的な点検は欠かせないでしょうから、安心して使いたいならNGKやデンソーのものを選んだ方が良いのでしょうね。
今回はいろいろ試してみましたがあくまで第一印象としての感想なので、今後は耐久性や燃費の面、他のパーツとの組み合わせなどいくつかのパターンで検証を続けてみたいと思います。
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