CGL125の電装系トラブルの点検

2021年も年明け以降諸々の事情によりなかなかバイクに乗れない状況が続いてますが、気軽にツーリングできない事情は他にもあるということで今回はその対策を練るべく点検などを実施してみることにしましたよ。

記事にはしませんでしたが昨年以来ここ数か月ほどにかけて電装系のトラブルが発生していたものの確定的なものがつかめず見て見ぬふりをしてきた訳ですが、年明け以降春先にかけていよいよその状態が悪化し、そのおかげもあってかある程度目星が付けられる感じがしてきました。

振り返って関係しそうなトラブルを思い起こしてみると・・・

  • 走行中後続の同行者からLEDテールランプの輝度が落ちて点滅してる、と指摘される→小雨の中フォグランプとナビを使ってたため電圧不足になりバッテリーが上がる
  • 1月2月の寒い時期バッテリー電圧が下がってセル始動できなくなる→充電後もエンジンがかかりにくくセルを回してるうちにバッテリー上がり
  • 始動時や、走行中の信号待ちなどで時折焦げ臭い匂いがする→排気等の匂いではなかった
  • エンジン始動後アイドリングさせてると電圧が低下していきストールすると再びセルは回らない→エンジンが温まっていてもキックを10回ほどしないと始動できない時もあった
  • 相変わらずバッテリー充電してもセルで始動中にバッテリー上がり→その後の走行で電圧が上がりセルスタートは何とかできるようになる
  • その後ついにセル始動できなくなる→電圧10Vでキック始動できたものの、回転を上げると電圧計の表示が7Vまで低下し灯火類の明るさも低下

で、今に至る。

そんなわけで色々調べたりアドバイスを受けて発電・充電系統の不具合ではないか?と推測。
疑う部分としては

  • レギュレーター
  • ジェネレーター
  • バッテリー
  • その他

というところですが、まずバッテリーは単体で充電し12.7Vくらいを維持してるので大きな問題はなさそう(交換後3年経ってるのでそろそろ交換時期が迫っている)だし、電圧計表示が7Vまで下がった時もなぜかバッテリー単体では12.1Vくらいあったので充電はできてそうということでレギュレーター故障の可能性も低そう。
続いてジェネレーターだけど、これはライトが暗いとかセルが回らない、なんか焦げ臭い等の部分が一般的に合致しそうな症状と言えそう。
その他については配線のリークなどによる電圧低下も考えられるのでここは目視も含めたテスターによる点検をしてみる必要がありそうです。

なにはともあれ、元々発電量の少ないCGL125に後付けの電装パーツを付けたりしてるので能力を超えた負荷をかけていることを無視するわけにはいきません。
その中でもヘッドライトとウインカーポジションの常時点灯化を伴うVFR800用右スイッチの改造取り付けは著しい影響があると思われるので、各部点検の前にまずは純正右スイッチへの交換とこれも電装系に負担を強いてると思われるCG125用直流CDIを純正交流式に戻す作業を実施してみます。

という訳で約二年ぶりにご対面するCGL125の純正右スイッチ。
CDIは純正に戻すの四年ぶりくらいかな。
無事に動いてくれることを願います。

まずはライトハウス内のごちゃごちゃな配線をすべて取り外します。
ある程度純正の配線色に合わせて作ったハーネスだけど、組付け時は作った自分でさえ悩んでしまう配線の多さ。
過去のブログ記事で公開した配線図などを眺めつつ二時間ほどかけて右スイッチの交換を完了。
CDIの電源供給の変更に伴って独自の配線処理をしてたので間違った接続で破壊することもあるでしょう。
過去の記録は必ず取っておく必要がありますね。

CDIも純正に交換。
とりあえず各部の接続に間違いがないか?確認ののちエンジンをかけてみます。

まず電圧計の表示は12.3V付近を示しているもののセルは回らず。
キックで始動してみると、それまで10回やっても始動しなかったエンジンがキック3回で始動してしまいました。
しばらくアイドリングしてても電圧が低下することなく、いったんエンジンを切って再始動してみると勢いよくセルが回って一発でエンジンがかかるようになりました!

いったいどういうことなんでしょうか?
確かに右スイッチ交換でヘッドライトが消せるようになったので負担軽減になってはいますが、あまりの変わり様に困惑してしまいこの日の点検作業はここまでとしました。
この時点ではジェネレーターの不具合を特定するに至っていませんが、一旦頭を冷やして何をすべきか考えてみることとします。


という訳で翌日。
まずはCGL125のサービスマニュアルを片手に発電・充電系統のページを元に点検を実施してみることとします。

最初にやるべきはバッテリー単体での電圧測定。
本来充電してからとのことですが、ここまで何度か充電していることと前日に電圧測定していることからその部分は省きました。
結果バッテリー単体では12.6Vで問題なし。

続いては漏電テスト。
バッテリーのマイナス端子を外してその端子とプラス端子間の電流を計れとのことで基準値は0.01mA以下のところ0だったので問題なし。

次はオルタネーターの点検。
ACコイル(黄)とグランド間の抵抗値を測定しろ、と書いてあるんだけど、CGLは単相全波整流でACコイルが接地してないから違うんじゃないの?と思いつつ計測。
結果抵抗値は表示されないのでACコイルから出てる二本のライン(黄)と(桃)の配線間を計測。
基準値0.3Ω~1.1Ωのところ0.5Ωということでこれも問題なさそう。
ステーターコイルの焼けによる発電不良は割とあるらしく、上記コイルの抵抗値が基準値内でも焼けによるローターへの接地で導通があったり発電不足に陥ることもあるらしいから、ここはコイルの目視点検も実施してみます。

次は負荷電圧の測定。
エンジン始動後の5,000rpmでヘッドライトハイビームでの負荷電圧を測定します。
一番目のバッテリー単体での電圧値と、5,000rpmで15.5V以下の値が正常値らしい。
で、負荷電圧は14.3Vということでこれもパス。

最後はレギュレートレクティファイヤーの点検。
これはめんどくさいので書かないけど点検項目はすべてパス。
マニュアルの記述的にほんとにこの点検方法で合ってるの?って疑問は残りますが、実際12V後半で充電電圧出てるし、ここに不具合があると電圧が15V以上になったりするそうなので、そのような状況にはなってないから故障があるようには見えないですね。

って訳でマニュアルに記載されてる点検項目はここまで。
あとはアドバイスをもらったAC電圧の測定をしてみます。
これは負荷電圧測定と同様、エンジンを始動してステーターコイルの(黄)(桃)配線の交流発電の電圧を測定してみるというもの。
結果、アイドリング時の1,500rpmで12.8V、5,000rpmで18.5Vというなんとも微妙な数値w
一応異常な数値ではないということで点検は終了。

右スイッチによる常時点灯の廃止と純正交流CDIへの交換でガラッと良い方向へ状況が変化してしまい、かえって困惑する状況となってしまいました(笑)

困惑しててもしょうがないので、続いてステーターコイルの目視点検に移ります。

クランクケース右側のジェネレーターカバーを開けるにあたってまずはオイルを抜いておきます。
外したドレンボルトを見ると今回もたくさんの金属片ががが!
もう見当は付いてるんですけどね。
こちらの問題もおいおい手を付けなきゃいけません。

慎重にあちこち叩きつつ、パッカーン!とは行かない感じでジェネレーターカバーが外れました。
うまいことガスケットが破れずに外せたからこれはシリコーングリスを塗って再利用します。

で、初めてご対面したジェネレーターコイル。
CG125系統と同じエンジンなのに、あちらは8極でこちらは4極。
どおりで発電量が少ないわけです。
過度な電装系アクセサリーの搭載はトラブルの元、というのが分かろうというものですね。
どうしても発電量を増やしたいというならコイルの巻きなおしか、CG125用8極コイルとローターのセットに交換という手も。

さて外したステーターコイルの目視点検です。
見たところ8年使用したものとしてはきれいな状態を保っているようで傷や欠損、想定してた焼けもなく問題はなさそう。
ますます困惑する事態に!

ちなみにローターはこんな感じで、こちらも傷もなくきれいな状態。
このローターを外すためにはユニバーサルホルダーで固定したうえでセンターのボルトを外す必要があります。
ボルトを外せてもロータープーラーという特殊工具を使う必要があり、そのサイズはマニュアルに書いてないためボルトを外して目視確認するしかありません。
そのうち機会があったら確認してみましょう。

という訳でなぜか各点検項目での問題は発生せず対策の取りようがない状態となってしまいましたが、念のためコイル単体での抵抗値など測ってみました。
やはり0.5Ωを示していて基準値内に収まってます。

これ以上できることはないので今回の点検はここまでとして、外した部品を清掃しつつ元通りに組み立て作業は終了。
組み立て後エンジンを始動してみると回転は安定し心なしか軽やかでノイズも減ったような気がします。
電圧も安定して(ヘッドライト消灯で)13.2V付近を示してるし、5,000rpm付近では14.5Vあたりで安定しました。
なおヘッドライトを点灯すると概ね1Vほど電圧が低下するようで、やはりCGL125でのヘッドライトの常時点灯はかなり負荷がかかっていたようです。

最後にCG125用直流デジタルCDIを装着して様子を見てみましたが、こちらは純正CDIとの差を感じる部分はありませんでした。

あと右スイッチを純正に戻したことでハザード機能が失われたわけですが、追加配線を作成してこの組み合わせで機能を実現する術はあることにはあるんですが、実際のところほとんどハザードを使用することがなかったのでしばらくはこのまま廃止しておこうと思います。


とりあえず純正状態に近い構成で結果オーライという状況ですが、年数を経た車体で今後もトラブル発生の可能性は少なくないでしょうから常に注視していく事としましょう。

バイクを所持してしまうとあれこれと改造やカスタムをしたくなるものですが、私のようにいじり壊すということにもなるし一番安定した純正状態で乗り続けるのが安全である、ということを実感することとなった今回の点検作業でした(笑)

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