平年より遅い梅雨入りとなった関東地方、快晴でのツーリングがままならないバイク乗りにとってはなかなか辛い季節になりましたね。
年明け以降様々なトラブルを抱えた我がCGL125ですが、タイミングよくというのも変ですがあまり遠出をできない状況下にあるので今後控えているの大掛かりな整備の予行演習をやってみましたよ。
前回の電装系トラブルの点検ではCGL125を購入以来初めてジェネレーターカバーを外しました。
今回は引き続いて個人的にはエンジン分解の最大の難所と考えているジェネレーターローターの取り外しにチャレンジしてみようと思います。
今回は正しい指定工具を使用しない、汎用の道具等を流用した作業を自己責任の下で行っています。
この記事を参考に同様の作業をした場合バイクを破損する可能性があるので絶対真似しないでください。
マグネットローターを外す際はサービスマニュアルの記載にもあるように、ユニバーサルプーリーホルダーでマグネットローターを固定しつつM14のフランジボルトを外すというのが通常のやり方ですが、そもそもユニバーサルプーリーホルダーを持っていないので購入しなければなりません。
しかしたまたま死蔵している12Vの外部電源(ジャンプスターター)の存在に気づき、これまたたまたま自動車のホイール脱着に便利そうだと思っていた電動インパクトレンチを入手したことから今回はこれらの道具を使ってCGL125のマグネットローターを外してみることにしました。
マグネットローターの取り外しに電動インパクトレンチを使おうとするとき、外す際はあまり問題ならないものの今回は締め付け時にもインパクトレンチを使用することになり、100Nmを超えることもあるホイールの締め付けトルクと同様にマグネットローターのボルトを締め付けるのはオーバートルクになるのでは?気になる部分もあるわけです。
しかし今回入手した電動インパクトレンチは締め付けトルクを10Nmごとに設定できる機能があるので、マニュアルに記載されていた締め付けトルクの指定値である75Nmに近い値で試してみることとします。
という訳で作業開始。
①ジェネレーターカバーを外すにあたってまずはエンジンオイルを抜き取り左サイドカバーをはずし、ステーターコイルからメインハーネスにつながるコネクターを外します。
②シフトペダル(青→ボルト一本)、フロントスプロケットカバー(緑→ボルト二本)、スターターギアカバー(赤→ボルト三本)の順番で取り外し。
スターターギアカバーはOリングが密着しているからか、ボルトを外してもすんなり外れないので根気よく動かしながら外しましょう。
というのが理想的な作業ですが、どうにも外れないので若干隙間が開いたところでマイナスドライバーを使って徐々に浮かしていく形で外しました。
合わせ面に傷をつけることになるのでマイナスドライバーを使ってこじるのはあまりやりたくないですね。
スターターギアカバーが外れたらフリーになったスターター減速ギアを外します。
③ここまで来てようやくジェネレーターカバーが外せます。
ボルト8本で固定されていますが、うち一本はスターター減速ギアを外した内側にあるためここまで外さないといけないわけですね。
ちなみにここの8本のボルトは右クラッチカバー同様3/8サイズのソケットでは入らないため、1/4サイズの細いソケットを用意しなければなりません。
組付け時に過剰な高トルクで締め付けてボルトをねじ切ってしまわないためにもこれくらいのほうがいいのかもしれませんね。
④ガスケットを破かないように慎重にジェネレーターカバーを抜き取りますが、スターターモーター合わせ部のOリングが密着していることと、マグネットローターの磁力が強力で簡単には外れてくれません。
焦らず根気よくちょっとずつずらしながらようやくカバーが外れたら配線の留め具のプレートボルトを緩めてジェネレーターカバーを分離します。
⑤いよいよ今回の主役、電動インパクトレンチの登場!
セットにはない別途購入したM14のインパクト用ソケットをセットしてトリガーを引きます!
なんとローターを固定することなく三回ほどの打撃でスルッとボルトが外せました。
ここのボルトはかなりな高トルクで締め付けてあるため、エンジンがフレームに乗った状態でもユニバーサルプーリーホルダーで固定した上での人力での取り外しが困難な部分でもありますが、エンジンを下した状態での取り外しはさらに困難なものとなるでしょう。
なので今回インパクトレンチ一撃で外せたのは大きな収穫でした。
⑥続いてはマグネットローターの取り外し。
サービスマニュアルによると、ここでは十字型のフライホイールプーラーの使用を指定されていますが、これも持っていないため今回はM16P1.5の細目ボルトを流用してみることとします。
(通常M16のボルトはP2.0で細目のボルトはなかなか見つからないのですが、親切なフォロワーさんが探してくれて入手することができました!とてもありがたいことですね!)
さて当然ここでもユニバーサルプーリーホルダーでローターを固定しなければなりませんが、まずはこのボルトをねじ込むだけで外せるか試してみます。
で、ボルトを締め付けるだけでは案の定ローターが回転してしまって外せなかったので、これまたお借りしたベルトレンチでローターを固定し24mmのメガネレンチでねじ込んでいきます。
しかしやはりベルトレンチではベルト部分が捻じ切れる恐れがあったので無理せずここまでとしました。
結果タイトル通りマグネットローターの取り外しは失敗したわけですが、大掛かりな分解作業に至る前に手持ちの道具では取り外し不可能であることが分かったのでヨシとしておきましょう。
結局ユニバーサルプーリーホルダーは購入しなきゃならないようです。
作業終了後、ちょっと気になった部分があったので改善作業をしてみました。
フライホイールプーラーの代わりとして流用したM16ボルトですが、次回作業時にそれなりな高トルクをかけてねじ込んでいく時にボルトの当たり面の荒れがクランクシャフトに傷をつけないか心配になったためやすりがけして平面っぽくしておきました。
このボルト、ピッチを含むサイズがジャストサイズであったのは良かったですが、専用工具に比べて強度に劣っているのではないか?と感じる手ごたえもあったため、慎重に様子を見つつ作業することが必要だなと思いました。
ノリと勢いで何も考えずにガンガンねじ込んで車体側が破損するというのは絶対に避けなければなりません。
場合によってはフライホイールプーラーの購入も検討しなければなりませんね。
さて今回の失敗に終わったマグネットローターの取り外し作業はこれにて終了ですが、一連の作業でやらかした事など。
上の写真はスターター減速ギアのシャフトが収まる部分ですが、見ての通りシャフト穴の一部に切り欠きがあってそこにシャフトのストッパー部分がくるように組まなければなりません。
(余談ですがここのギアってスターターモーター作動時しか回転しない部分でしょうからシャフト部分への潤滑はここの切り欠きからオイルを流し込むことで賄っているのかもしれませんね)
赤丸の部分は前回の分解時にここの切り欠き部のはめあいを確認しないままギアとカバーを組み込んでしまい、セルスターターの動作時に異音がして気が付くという大失態を犯した痕跡なんですね。
アルミ素材ゆえにここがへこむことでうまく力を逃がしてくれて大ごとにならずに済んだようですが、場合によっては無理な締め付けでカバーが割れてしまうなどということも想定できるため、やはり作業時には一つ一つ確認を怠らずに進めることが大事だと気付かされた部分でもありました。
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