ちょっと間が空きましたが、今回はいよいよCG125用ローラーカムフォロアーの取付をします。
構造の簡単なOHVエンジンですが、4ストロークエンジンのシリンダーを外すのは初めてなので、取り外し組み付け・ヘッドボルトの締め付けトルクなどしっかり頭に叩き込み、段取りを良く考えて作業を進めていきます。
前回「CG125用ローラーカムフォロアーの装着 準備編」ではCG125用ローラーカムフォロアーのニードルローラーベアリングを洗浄したところまでやりました。
約二週間オイル漬けにしておいたローラーカムフォロアーのニードルローラーベアリングは引っかかり無くスムーズに回転するようになりました。
今回ローラーカムフォロアーを取り付けるにあたって準備した部品は上の写真の通り。
ガスケット類は交換必須なので、あらかじめタオバオ経由で入手しておいた1.2元の激安品を用意。
また今回はシリンダーを外す関係上、マフラーも取り外すのでエキゾーストガスケットも交換。
あと、カムフォロアーの軸に装着するOリングはホンダ純正の物を用意しました。
以前取り付けた社外アルミインマニに付属していたOリングでは痛い目にあったし、この部分は一度組んでしまうと外すのが面倒なので、トラブル回避の意味も込めて信頼の国産ホンダ純正部品を使います。
部品番号:91333-KE5-003 O-RING, 17×2.5
その他工具類の準備をして作業に取り掛かりましょう。
まずは作業をやりやすくするため外装関係の部品を外していきます。
燃料タンク、サイドカバー、マフラー、キャブレター、イグニッションコイル、エンジンハンガーなどを取り外します。
と、ここで前回作業時のミスを発見!
なんとエアクリーナーコネクティングチューブのバンドを締め忘れてました!
ローラーカムフォロアーを導入するにあたってノーマルスリッパーアームのフォロアーとの違いを知りたくてわざわざノーマル状態に戻したのにこれじゃ意味なしです。
今更作業を延期する訳には行かないので不本意ですが続行します。
思わぬところで詰めの甘さを露呈してしまいましたね。
以前記事にした中華CDIのテスト結果も疑わしい物になってしまいましたw
出鼻をくじかれた感がありますが、ヘッドカバーを開けて特徴的なOHVエンジンのロッカーアームとプッショロッドにご対面!
まずはこのロッカーアームホルダーを外しプッシュロッドを引き抜いてヘッドボルトを外します。
このヘッドボルトですがかなりの高トルクで締め付けられているようでなかなか外れません。
特に手前に見えるプッシュロッドガイドの固定を兼ねている二本がガチガチに締まってました。
(この二本のボルトのせいであとあとトラブルが起こることに)
シリンダーヘッドの取り外しは今回の作業に於いては、事前情報の少なさから一番の難関と言える部分でした。
というのも、以前タペットクリアランスの調整をした時に、ヘッドカバーとフレームのクリアランスがとても狭く、エンジンをフレームに乗せたままシリンダーヘッドが取り外せるかわからなかったからです。
もしこの時点でシリンダーヘッドが取り外せず、エンジンをフレームから下ろす必要があったとしたらこの計画は頓挫していたでしょう。
とりあえずシリンダーヘッドはエンジンを下ろさなくても外すことができたので、似たような構造のCG125も同様に外すことができると思います。
(保証はしません!自己責任でご確認ください!)
ヘッドボルトさえ外れてしまえばあとは簡単ですね。
やはりOHCのエンジンと違ってカムチェーンがないのは分解も楽チンです。
ホンダの開発秘話に載っていたメンテナンスの容易さをここで実感することになりました。
さて外したシリンダーヘッドの燃焼室の様子を見てみます。
まあ概ね綺麗な状態ですが、カーボン多めでしょうか。
続いてピストンの様子。
こちらはヘッド部分のカーボンが堆積してるのがはっきりわかりますね。
やはりというか、燃調が濃いめだなと常々感じてたので予想通りの結果です。
今回の作業の目的はローラーカムフォロアーの装着ですが見てしまった物は仕方ないです。
掃除しましょうかね。
燃焼室の汚れは余っていたキャブクリーナーとナイロンブラシでそこそこ落とせました。
本当はバルブを外してあれこれしたほうがいいんでしょうが今日はこれくらいで許してやります。
ピストンもみちがえるようになりましたね。
上の汚れたピストンの写真と見比べると同じ物とは思えないほどw
その流れでシリンダーやクランクケースに固着したガスケットの除去をしましたが、今回の作業の中ではこれが一番大変でした。
スクレーパーやカッターナイフ、マイナスドライバーの 先端などを使ってできるだけカスが残らないように剥がしましたが、雑にやると接合面に傷を付けかねないので慎重な作業が要求されます。
諸々の洗浄作業に二時間ほど費やしようやくローラーカムフォロアーの取り付けに入ります。
と、その前にカムギアの様子でも見ておきましょうか。
クランクシャフト近くに配置されているOHVエンジンのカムギアです。
1カムで吸排気を兼ねる合理的な設計になってますね。
こちらはノーマルのスリッパーアーム式カムフォロアーの様子。
減り方を見てみると上下の部分が主にカムと接触してるようにも見えます。
多分軸側が主にカムと接触し、カム山を通過するときに先端部が接触するのでしょう。
これをローラーに置き換えれば抵抗が減りスムーズに回転することが大いに期待できそうですね。
各部の点検が終わったところでいよいよローラーカムフォロアーの取り付けです。
Oリング以外はキットの部品を使用し、ノーマルのカムフォロアーと同様の手順でシリンダーに取り付けます。
特に不具合やガタつきなく取り付けできました。
ここで喜び勇んで仕上げまで行ってしまいたい衝動に駆られますが、まずはガスケットを装着する前に仮組みしてパーツ同士の干渉がないか、スムーズに動作するかなどを見てみます。
ローラーカムフォロアーを組み込んだシリンダーをクランクケースに仮組みしてみます。
ローラーとカムギアの位置関係はこんな感じ。
仮組みしてクランクシャフトを回してみましたが、この時点ではパーツ同士の干渉や不具合、異音などは無いようでした。
動作には問題無いようだったのでガスケットをはめてシリンダーヘッドまで組み付けていきます。
と、ここで問題発生!
ロッカーアームホルダーを取り付けるとなぜかプッシュロッドとそのガイドが干渉するという謎のトラブルが起こりました。
まあこうなると、今までとの違いを考えると当然カムフォロアーを変えた部分が一番先に原因と思うわけですよね。(結果としてそうじゃなかったけど)
何が違うのか見当もつかないので、とにかくカムフォロアーが原因だろうということで、取り付け方を再確認したり、ノーマルのカムフォロアーに付け直してみたりと、4回ぐらいシリンダーの付け外しを繰り返しました。
じっくり観察してみると、プッシュロッドのガイドが無ければ正常動作の状態になることがわかりました。
この時点ですでに日没間際な時間になってしまい、この際ということでプッシュロッドのガイドを取り外した状態でとりあえずエンジンを組み上げてしまいました。
ガイドが無くてもプッシュロッドが脱落することもないようなのでその点はいいんですが、プッシュロッドガイドを外してしまったことで、ワッシャー無しでヘッドボルトを締め付けるというのはちょっと気になるところでもあります。
薄暗い状態と30℃を超える気温の中での作業が続き疲労困憊だったのでこの日の作業はここで終了。
(疲れた状態での作業は大きなミスを誘発しますからね)
この状態で一応エンジンの始動は確認できましたが、タペトクリアランスの調整が追い込めなかったのでタペット音大きめでローラーカムフォロアー導入による静音化の効果は確認できませんでした。
さて夕食後トラブルの原因を探ってみると意外な事実が判明しました。
なんとヘッドボルトを取り外した時点でプッシュロッドガイドが変形していました。
今になって思うと、取り付けの際にガイドの形がなんか変だな〜とは感じましたが、まさかこの部品がこんなに簡単に曲がるなんて思いませんよね?
このガイドはフランジタイプのヘッドボルトがシリンダーヘッドと共締めで取り付けてあり、そこそこのトルクで締め付けてある訳です。
なので取り外しの際は逆に高いトルクでボルトのフランジ部が外す方向へガイドを引きずっていく訳ですね。
だから上の写真のように歪な形に変形してしまったということでしょう。
原因がわかったしこのままガイド無しで使用続けるのも怖いので、なんとかそれらしく修正してみました。
ちゃんと取り付けできるかわかりませんが、あとは現物合わせでなんとかしてみましょう。
という訳でローラーカムフォロアーの装着その1はトラブル続きで終了。
その2に続きます。
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コメント
motogeです
面白い記事見つけました。
CG125の検査していた方ですかね??
motoge様、コメントありがとうございます。
ご紹介いただいた記事、以前拝見したことがあります。
いくつかの派生モデルが誕生しながらも基本的な構成を変えず細かな部分を改良しながら今現在まで作り続けられたロングセラーモデルの歴史を垣間見た思いですね。
CG125というバイクは本当に面白いです。
さすがすんやさん良くご存じで、
この方にお会いして色々聞いてみたくなりました。
しかし現在この方のブログが更新されていないようなので残念です。
冬休みに、腰上ばらしてローラーカムフォロアーを確認しようかと思ったんですが
明後日の方向の部品??が入荷しそうなんで、そっちに時間取られそうです。
更新がないのは残念ですがブログを更新し続けるのって大変ですからね、ページが残っているだけでありがたいものです。
新しい部品楽しみですね!