三年使ったローラーカムフォロアーの点検

春先から続いたCGL125のメンテナンスもいよいよ大詰め。
今回は装着以来、三年15,000kmが経過した社外品ローラーカムフォロアーの確認を中心としたシリンダーとピストンの清掃・点検を実施してみますよ。

さて前回のクラッチ周辺パーツの分解点検をしてからタペット音にも似たようなペチペチ・カンカンといった異音が発生してましたが点検の結果タペットクリアランスは正常だったこともあり、疑わしい部分は一つづつ潰していく形で今回のローラーカムフォロアーの状態確認も点検項目の一つとして注目してみましょう。

CGL125のシリンダーはエンジンを下ろさなくても外すことができますが、作業のしやすさも考慮しまずはタンクを外した上で進めていくこととします。
続いてマフラーやキャブレター、エンジンハンガー、ヘッドカバー、ロッカーアーム、ロッカーアームホルダー、シリンダーヘッド、シリンダーの順で外していきます。

で、露わになったピストンとカムギヤーが見えた状態が上の画像。
OHV特有のクランクケース横に見えるカムギヤーはなかなか見ることがないと思いますがこんな感じになってるんですよ〜。

まずは外した各パーツの状態を確認していきます。
シリンダーヘッドの燃焼室の状態はこんな感じ。
前回開けた時よりカーボン多めですね。
目立った傷や破損はないのでカーボン除去しておきましょう。

続いてピストンヘッド。
前回は新車購入後三年半経過時で走行距離19,000kmでの清掃でしたが、それより期間も距離も短い今回の方がピストンヘッドに堆積したカーボンは多めですね。
今回は排気側側面の汚れも目立っている状態です。

お次はシリンダー。
ピストンリングから上の部分にあたる部分のカーボン汚れが目立ちますね。
加えて排気側のピストンリング隙間から吹き抜けたと思わしき排気汚れも目立ちます。
ただクロスハッチも残っており8年35,000kmの割にはまあまあいい状態なんじゃないでしょうか。

続いて今回の整備での重点箇所であるローラーカムフォロアー。
目視では目立つ傷や破損もなく問題なさそうです。
シリンダーから外してニードルベアリングのガタがないかローラー部分の点検をしてみましょう。

二組買っておいたローラーカムフォロアーのうち未使用で保存しておいたローラーカムフォロアーがあるのでローラー部のガタがないか、触診で比較してみます。
ローラー部の各方向のガタは未使用品とほとんど差がなく、この程度の使用期間では耐久性にはほとんど影響がない模様。
ローラーカムフォロアーの状態は概ね問題ないことが確認できましたが、ローラーが常時接触するカムギヤーのカムの状態はどうでしょうか。

で、上の写真がカムギヤーの摺動部の様子。
純正スリッパー式に比べて幅の狭いローラーが回転接触する摺動面は上記写真のように色が変わっている状態。
接触面の幅が減ることでカムに段付き磨耗が発生するのではないか?という懸念がありましたが、触診してみたところでは段付きなどは発生しておらず特に問題はないと判断。
状況から見て三年15,000km程度では社外品ローラーカムフォロアーを装着しても大きな影響はなかったとみていいでしょう。

見るべきところは概ね確認できたので各部を清掃しつつ再度組み立てていきますが、ローラーカムフォロアーの効果があったのか?再度体感してみようということでカムフォロアーは純正スリッパーアーム式に戻してみることに。

燃焼室とピストンヘッドに堆積したカーボン汚れですが今回はかなり頑固な状態だったのでスクレーパーやマイナスドライバー等を使ってガリガリと削ってからスチールタワシで落としていきます。
次回外しやすいように軽くシリコーンスプレーを吹いてから新しいガスケットを組み込み。

ちなみに前回シリンダーヘッドを開けた時に曲がったプッシュロッドホルダーは今回も曲がりました。
構造上外す時にどうしても曲がってしまうようで、面倒なようなら新品パーツを用意しておいて毎回交換するのもいいでしょう。
現物あわせでモンキーレンチ等で修正すればいいんですが正直面倒です。


さて作業が終わったところで状態確認から推測してみたことなど。
今回燃焼室のカーボンが多かったことについては8月に発覚したCDIの点火不良によるものが大きいのかなぁというのが妥当な落とし所かなと思います。
春先から度々アイドリングが不安定になる時がありその兆候は感じてましたが点火不良で不完全燃焼状態だったのなら状況的に合致するところでしょう。

続いて三年使用したローラーカムフォロアー。
こちらは懸念していた部分がほぼ杞憂に終わった形となり、出所のわからない社外品ローラーカムフォロアーであってもそれなりの耐久性があることは確認できました。
ローラーのガタやカム摺動部の異常磨耗がなかったのはOHVエンジンであるCGL125の動弁機構の構造上有利に働いた可能性が大きかったと感じますが、それというのもシリンダーヘッド部を潤滑したオイルがプッシュロッド部からカムギアに常に注がれ続けるという環境下で、もともと摩擦や抵抗が少なかったということが想像できます。

ちなみに純正スリッパー式カムフォロアーに交換後の状況ですが、数字的なものは出せないのであくまで体感的な感想ではありますが個人的にはなかなか大きな差を感じることができました。
まず始動時のアイドリングの軽快さがなくなり振動が増えました。
アイドリング回転数が200rpmほど低い値になったことはスリッパー式にしたことで抵抗が増えたということでしょう。
そのほか登坂時のトルク感が減少し全体的に軽快感が失われた部分が目立ち、ローラーカムフォロアー装着直後の感想とは反する状況になったことが体感できました。

というわけでローラーカムフォロアー導入による変化を再認識することができましたが、それのメリットをあげるとするなら、あくまで低回転から常用域でのロス軽減を主目的とした部分に期待するべきで、ハイカムと組み合わせて高回転まで回してスポーツ走行をしたい!という目的ならその用途には合わないパーツであるとの認識を持たなければならないでしょう。
なんせ高速回転する動弁機構部分の主要パーツの重量が50%増しになるというのは高回転域ではデメリットな方向への影響が大きいとだろうと思えるからですね。

さてもう一つの問題点であったエンジンからの甲高い異音ですが、今回の作業とは関係ない部分であることは確認できました。
ということでこれまでの作業で懸念点として気になっている部分として、次回はオイルポンプの状態を確認することとしましょう。

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