セルモーターの分解清掃

今まで全くの手付かずで、いつかはやらなきゃいけないと思っていたセルモーターの分解清掃。
なんとなくツーリングに行く気にもならない曇天模様の週末だったので作業を実行することにしましたよ。

CGL125のセルモーター外観

スターターモーターが回らないなど、トラブルが発生しなければあまり注目されないセルモーターですが、カーボンブラシがすり減ってダストの汚れがたまるなど、放置しておくといつかは不具合を起こす部分でもあります。

掃除をするついでにカーボンブラシの減り具合など状態を見ておくことは予防的措置として有効でしょうから一度は作業を実施したかった部分です。

セルモーターのマウントボルトを外す

ということで、まずはクランクケース右側に見えるセルモーターのマウントボルト2本を外すところからスタート。
後ろ側のボルトはアースケーブルと共締めになっています。

セルモーターの電源線を外してクランクケースから分離する

続いてクランクケース左側からセルモーターの電源配線を取り外し、セルモーター本体を車体右側方向へ押し出すようにしてクランクケースのスターターギヤから分離します。

セルモーターを取り出すときにクランクケース右側のクラッチレバーが干渉して外しにくいですが、クラッチを切る状態にしてレバーを逃がしてやるといいでしょう。

スターターモーターのエンドカバーを分離

セルモーターが外れたらまずはアッパーカバー・エンドカバーとセルボディの位置関係をマーカー等で印を付けておきます。

二本の長いボルトを外すと両側カバーが分離できますが、手ではなかなか外れないのでゴムハンマーなどで外周を軽く叩きながら少しずつずらしていきます。
このときカバーを一気に外してしまうとOリングがちぎれてしまったり、破損してしまう恐れがあるので慎重に作業しましょう。

アッパーカバー・エンドカバーが外れたセルモーターの中身

アッパーカバー・エンドカバーが外れたセルモーターの中はこんな感じ。
2ブラシタイプだと思い込んでたのでびっくり、なんと4ブラシタイプタイプです!

CGL125のパーツリストには分解した状態の図が載っていないし、サービスマニュアルにも分解清掃までは記載されていなかったので、今回初めて4ブラシタイプであることを知りました。
今後画像を頼りにカーボンブラシの交換部品が出るのか?調べる必要が出てきました。

分解したCGL125のセルモーター

というわけでセルモーターを分解できたので、各部の状態を見つつ掃除をしていきます。
新車購入以来もうすぐ9年になる割にはカーボンブラシのダスト汚れも酷くなかったですね。

まずはアーマチュアから。
全体的に毛足の長い洗浄ブラシや歯ブラシなどを使ってダストを除去。
カーボンブラシの接点はスチールウールやナイロンたわしを使って磨き、接点の溝に溜まったダストも掻き出してきれいにしておきましょう。

カーボンブラシをセルボディから外す

続いてはセルボディからカーボンブラシホルダーを分離して掃除します。
電源線を固定していたボルトをセルボディから外すとブラシホルダーごと外れます。
マグネットがついているセルボディ内はカーボンブラシのダストが多く溜まっている場所なので歯ブラシ等できれいに掃除しておきます。

電源線を固定する部品は組み立て時の順番を間違わないよう位置関係を記録しておくのが良いでしょう。

カーボンブラシの減り具合

ブラシホルダー周辺も歯ブラシ等できれいに掃除したらカーボンブラシの減り具合を見ておきます。
新品時のサイズがわからないのでどの程度減っているのかわかりませんが、4個とも大体10.5mm程度と均一な減り具合で問題はなさそうです。
ブラシホルダーのプッシュスプリングの動きも良好でした。

ちなみにカーボンブラシのより線は半田付けしてあるようで、交換部品がどのような形で供給されるのか?興味のあるところです。

清掃の済んだセルモーターの部品

その他部品も点検しつつ掃除は完了。
分解した逆の手順で慎重に組み立ててきましょう。

カーボンブラシホルダーの取り付け

最初はセルボディに電源線とカーボンブラシ、カーボンブラシホルダーを取り付け。
電源線のボルトとパッキン、ワッシャー類の順番は画像の通り。

セルボディへアーマチュアを取り付け

今回の分解作業の最大の難関はここでしょう。
2ブラシタイプならまだしも4ブラシですから、スプリングで飛び出してくる4つのブラシを抑えながらアーマチュアのブラシ接点を挿入するのは至難の技です。

で、今回はクリップでブラシを押し込んだ状態で固定しておいてアーマチュアを挿入することにしました。
この方法ならカーボンブラシがブラシ接点に干渉することなく、マグネットの磁力のおかげでアーマチュアをスルッと挿入できます。

分解したセルモーターのアーマチュアを挿入したセルボディとアッパー・エンドカバーを組み付ける

ここまでくればもう難しい作業はありません。
アーマチュアのシャフト両側やアッパーカバー・エンドカバーの軸受け部分に適量のグリースを塗布し、セルボディ両側のOリングにはシリコーングリスを適量塗布して組み付けていきます。

二本の長いボルトで固定してセルモーターの組み立ては完了ですが、ボルトを締めすぎないよう注意しましょう。
Oリングの弾力を感じる程度の締め具合で止めておけば問題ありません。
締めすぎるとOリングが痛んだり破損する恐れがあります。

セルモーターの電源配線接続時の注意点

セルモーターをクランクケースのスターターギヤと接続して二本のマウントボルトで固定、最後に電源線をナットで固定して作業は完了です!

で、このときのちょっとした注意点。
電源線の固定ボルトはセルボディにフランジナットで固定されているので、ダブルナットのような形で固定される電源線のナットはそのまま締め込まず、スパナを二本使って固定するようにしてみました。
こうしておけばナットを締めすぎることもなく、ボルトをねじれさせない効果はあるんだろうと思います。

これでセルモーターの分解清掃と取り付けはできましたが、本来はセルモーターを取り付ける前に動作チェックをするべきでした。
一応重ねて各部を目視点検しておきましたが、今回はうっかりそのまま組んでしまったので次回は取り付け前に動作チェックをするようにしましょう。


で、セルスターターの動作チェックですが、清掃前は

ギュルルル・ボン!

だったのが、清掃後は

キュルル・ボン!

という感じで、セルモーターが軽快に回って始動するようになりました!

分解清掃だけでどの程度の効果があるのか半信半疑というところでしたが、体感できるほど改善されましたね。
CGL125にはキックスターターもありますが、エンジンを始動するときはほぼセルスターターを使用しますから負荷軽減という部分においても意味はあったと言えるでしょう。

新車購入から9年を迎えようとする今日まで放置していた部分でもありますから、今後の維持管理する上での点検項目の一つとして、カーボンブラシの減り具合も確認できて良かったということもあります。

こんなに簡単な作業ならもっと早く作業しておくべきでしたが、意外と汚れが少なく状態は悪くなかったのは収穫でした。

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